アンダーソン局在

アンダーソン局在とは、ランダムな系の中において、散乱と干渉の効果により量子力学的な波の拡散が抑制される現象のことです。 主に電子や極低温原子において知られている現象ですが、 空間的にランダムな媒質中では光も同様にアンダーソン局在を示します。 輸送現象に顕著な特徴が現れる電子の局在とは異なり、光の局在は実験による直接観測は困難と思われていたのですが、 本研究では実験、及び数値計算の両方で光のアンダーソン局在の証拠をつかむことに成功しました。

ランダムレーザー

レーザー発振のためには、増幅媒質中に光をトラップする必要があります。 一般的なレーザーでは向かい合わせの鏡(キャビティ)を用いますが、 アンダーソン局在によって光をトラップすれば、鏡などを用いずにレーザー発振することが可能になります。 それを実現するのがランダムレーザーです。

GaNナノコラム

円柱状のナノ結晶が2次元面状に立ち並んだ集合体をナノコラムと呼びます。 本研究では窒化物半導体のナノコラムを試料として用いています。 円柱状ナノ結晶をランダムに配置するとそれらがランダムな散乱体として働くため、 ナノコラム中では光がアンダーソン局在を起こします。 GaNは緑色レーザーの材料となることも期待されており、 ナノコラム形成の容易さ、及び発光特性から、応用面においても有望な物質です。