Surface Science Laboratory of Sophia University

世界を変える!光触媒

世界を変える!光触媒

本項では、1967年に本多・藤嶋らが発見した「光触媒」についてご紹介致します。

 

 一般に、触媒とは「自身は変化せず、化学反応を促進するもの」のことをいいます。

 

 

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代表的な触媒「二酸化マンガン」。過酸化水素水の反応速度を飛躍的に高める。

 

 

 本研究室で扱う光触媒とは、「自身は変化せず、光を吸収することで化学反応を促進するもの」です。広く知られている光触媒として、植物の葉に含まれる葉緑素が挙げられます。

 

 

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身近な光触媒反応「葉緑素による光合成」

 

 

 葉緑素は、光を吸収することで「二酸化炭素+水 → デンプン+酸素」という反応を促進させます。これは最もよく知られている光触媒反応です。

 

 1967年、本多・藤嶋らは二酸化チタンに光を当てると水の分解が起こるという光触媒反応を発見しました。この現象を応用すれば、光を当てるだけで汚染物質の分解=環境浄化が実現できると考えられるようになりました。これが光触媒研究のはじまりです。

 

 光触媒による分解作用の例は、実は非常に身近なところにあります。白い壁やガードレールを擦って、白い塗料が付着した経験はありませんか?これは白色塗料として用いられている二酸化チタンに光が当たって、塗料の成分を分解してしまったことが原因で起こるものです(チョーキング現象)。

 

 

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二酸化チタンによる分解の例「チョーキング現象」

 

 

 「二酸化チタン+光」が持つ分解作用を利用して汚染物質を分解する研究は、現在盛んに行われています。

 

 

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二酸化チタン光触媒による汚染物質の分解

 

 

 光の作用で自然に汚染物質を分解除去してくれるため、高速道路のパネルや高層ビルの窓ガラスに塗布すれば”汚れないパネル、いつまでもきれいな窓”が実現されます。また、抗菌作用や環境汚染物質(ホルムアルデヒド、窒素酸化物、硫黄酸化物、etc...)の無害化にも注目が集まっています。

 

 

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光触媒は地球規模の諸社会問題を解決する!

 

 

 光触媒の用途は「汚れの分解」だけにとどまりません。

 

■水の分解により水素の安定供給を実現させることで、エネルギー問題を根本的に解決する
■人工光合成を行うことで、地球温暖化問題や食料問題を解決する

 

ことが期待されています。

 

地球規模で深刻化する諸問題を一挙に解決する可能性を持つことから、光触媒は「持続可能な社会を実現する夢の技術」と言われています。

 

本多・藤嶋らは光触媒を発見した実績を評価され、ノーベル物理学賞候補に挙げられました。現在でも光触媒の分野では日本が世界をリードしており、今後のさらなる発展が期待されています。

 

 

次ページ<光触媒が抱える課題>につづく


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