Thin Film Laboratory of Sophia University

光触媒が抱える課題

光触媒が抱える課題

前項<世界を変える!光触媒>で紹介されているように、光触媒は大きな可能性を秘めています。しかし、現行の光触媒にはクリアしなければならない課題がいくつかあります。

 

 

【課題@:紫外線しか利用できない】
 現行の二酸化チタン光触媒は紫外線しか利用できません。紫外線は太陽光線の数%にしか過ぎないため、エネルギー利用効率が悪いということになります。さらに室内の光(蛍光灯やLEDランプなど)には人体に有害な紫外線はほとんど含まれていませんので、光触媒は室内では全く働きません。したがって、屋内のシックハウス症候群対策や病院の手術室の消毒などには無力です(自前の紫外線源を備えれば室内でも使えますが)。

 

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太陽光スペクトルにおける紫外線の占める割合はごくわずか。

 

 光触媒を可視光下で使えるようにするために、いろいろな試みがなされています。当研究室では、実績のある二酸化チタンに様々な物質を添加して、可視光応答性を発現させる研究を行っています。

 

 

【課題A:光触媒メカニズムの詳細が未解明】
 光触媒におけるもう1つの課題は、応用面での研究が進んでいるにもかかわらず、基本的なメカニズムがわかっていないことです。光触媒活性を決定する因子は何か?二酸化チタンはルチルとアナターゼという違った結晶構造をもつものがありますが(実際には2種類ではなくもっと多い)、アナターゼの方がなぜ活性が高いのか?結晶欠陥などが与える影響は何か?などです。

 

(左)アナターゼ型、(右)ルチル型。アナターゼ型の方が高い光触媒活性を示す。

 

それは、光触媒は実用的には粉末で使用しますが、粉末は均一性が低く物質としての同定が難しいので、粉末を対象にすると現象が複雑すぎて解釈が困難であるためです。そこで、我々は均一性が高く物質として同定しやすい単結晶やエピタキシャル薄膜を作製して、基本的な問題の解決に取り組んでいます


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