Surface Science Laboratory of Sophia University

光触媒

光触媒

 光触媒とは、光のエネルギーを使う触媒(あるいは触媒反応)のことです。特に二酸化チタンという光触媒は非常に強い酸化力をもち、汚染物質の分解=環境浄化に威力を発揮します。セルフクリーニング作用によって光の作用で自然に環境汚染物質を分解除去してくれるため、高速道路のパネルや高層ビルの窓ガラスに塗布して、”汚れないパネル、いつまでもきれいな窓”を実現しています。また、最近はホルムアルデヒドや窒素酸化物などの無害化や抗菌作用にも注目が集まっています。しかし、今の光触媒にはいくつかの大きな問題があります。

 

 1つは、二酸化チタンは紫外線しか利用できないという点です。紫外線は太陽光線の数%にしか過ぎないため、エネルギー利用効率が悪いということになります。さらに室内の光(蛍光灯やLEDランプなど)には人体に有害な紫外線はほとんど含まれていませんので、光触媒は室内では全く働きません。したがって、屋内のシックハウス症候群対策や病院の手術室の消毒などには無力です(自前の紫外線源を備えれば室内でも使えますが)。
光触媒を可視光(あるいは赤外線)下で使えるようにするために、さまざまな試みがなされています(可視光応答性)。我々は、実績のある二酸化チタンにさまざまな物質を添加して可視光応答性を付与するために研究を行っています。

 

 もう1つは、光触媒の応用面での研究は進んでいますが、基本的なことがわかっていないことです。光触媒活性を決定する因子は何か?二酸化チタンはルチルとアナターゼという違った結晶構造をもつものがありますが(実際には2種類ではなくもっと多い)、アナターゼの方がなぜ活性が高いのか?結晶欠陥などが与える影響は何か?などです。それは、光触媒は実用的には粉末で使用しますが、粉末は均一性が低く物質としての同定が難しいので、粉末を対象にすると現象が複雑すぎて解釈が困難であるためです。そこで、我々は均一性が高く物質として同定しやすい単結晶やエピタキシャル薄膜を作製して、そのような基本的な問題の解決に取り組んでいます。

光触媒 記事一覧

可視光応答型光触媒の開発

本項では、坂間研究室が現在取り組んでいるテーマの一つ「可視光応答型光触媒の開発」についてご紹介します。【研究目的】 可視光下で高活性を示す光触媒を開発する【研究方法】*PLD法を用いて、金属-非金属共ドープTiO2試料を作製する*試料評価はX線光電子分光(XPS)とX線吸収微細構造(XAFS)で行う...

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アナターゼ二酸化チタンの電子状態

本項では、2012年にM2江森万里らが発表した下記論文の内容をご紹介します。"Electronic Structure of Epitaxial Anatase TiO2 Films: Angle-resolved Photoelectron Spectroscopy Study"Masato Em...

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光触媒が抱える課題

前項<世界を変える!光触媒>で紹介されているように、光触媒は大きな可能性を秘めています。しかし、現行の光触媒にはクリアしなければならない課題がいくつかあります。【課題@:紫外線しか利用できない】 現行の二酸化チタン光触媒は紫外線しか利用できません。紫外線は太陽光線の数%にしか過ぎないため、エネルギー...

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世界を変える!光触媒

本項では、1967年に本多・藤嶋らが発見した「光触媒」についてご紹介致します。 一般に、触媒とは「自身は変化せず、化学反応を促進するもの」のことをいいます。 代表的な触媒「二酸化マンガン」。過酸化水素水の反応速度を飛躍的に高める。 本研究室で扱う光触媒とは、「自身は変化せず、光を吸収することで化学反...

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